解体工事業の登録
建設業のうち、建築物等を除去するための解体工事を請け負う営業を「解体工事業」といいます。平成13年5月に施行された「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(通称:建設リサイクル法)」により、この解体工事業を営もうとする者は、その営業区域を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならないことになっています。これは営業所をその都道府県に置く置かないにかかわらず、解体工事を行う都道府県ではすべて登録をしておく必要があります。なお、土木工事業、建築工事業、とび・土工工事業の建設業許可を受けた業者は登録する必要はありません。また、平成28年6月1日以降に解体工事業の建設業許可を受けた業者も登録する必要はありません。
解体工事業として登録する際には、工事現場における解体工事の施工技術上の管理をつかさどる者で、国土交通省令で定める基準に適合する者、これを技術管理者といいますが、その者を専任しなければなりません。技術管理者は、建築物等の構造・工法、周辺の土地利用状況等を踏まえた解体方法や機械操作等に関する必要最低限の知識・技術を備えた者をいいます。
技術管理者とは
技術管理者は、下の表にある国家資格者か、実務経験を有する者(講習を受けた者を含む)のいずれかでなければなりません。
分 類 | 要 件 | 備 考 |
国家資格 | 一級建設機械施工技士 | |
二級建設機械施工技士 | 第1種または第2種に限る | |
一級土木施工管理技士 | ||
二級土木施工管理技士 | 土木に限る | |
一級建築施工管理技士 | ||
二級建築施工管理技士 | 建築または躯体に限る | |
一級建築士 | ||
二級建築士 | ||
一級とび・とび工技能検定合格者 | ||
二級とび技能検定合格者 | 合格後解体工事業で1年以上の実務経験 | |
二級とび工技能検定合格者 | ||
技術士2次試験合格者 | 建設部門に限る | |
実務経験 | 解体工事業で2年以上の実務経験 | 大学で土木工学科等を修了し卒業後 |
高等専門学校で土木工学科等を修了し卒業後 | ||
解体工事業で4年以上の実務経験 | 高校で土木工学科等を修了し卒業後 | |
中等教育学校で土木工学科等を修了し卒業後 | ||
解体工事業で8年以上の実務経験 | ||
講習修了者 | 解体工事業で1年以上の実務経験 | 大学で土木工学科等を修了し卒業後 |
高等専門学校で土木工学科等を修了し卒業後 | ||
解体工事業で3年以上の実務経験 | 高校で土木工学科等を修了し卒業後 | |
中等教育学校で土木工学科等を修了し卒業後 | ||
解体工事業で7年以上の実務経験 | ||
登録試験合格 | 解体工事施工技士 | 社団法人全国解体工事業団体連合会 |
実務経験・・・解体工事に関する技術上の経験を言います。つまり、解体工事の施工を指揮、監督した経験、実際に解体工事の施工に携わった経験のことです。また、解体工事に関する技術を習得するための見習における技術的経験も含みます。ただし、解体工事の現場の単なる雑務や事務の仕事に関する経験は、実務経験になりません。 土木工学等学科・・・土木工学(農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地又は造園に関する学科を含む。)、都市工学、衛生工学、交通工学、建築学に関する学科をいいます。 |
不適格要件
解体工事業の登録申請書もしくはその添付書類のうち重要な事項について虚偽の記載があったり、重要な事実の記載が欠けるときは登録を拒否されます。この他、下に挙げる解体工事業の不適格要件に該当する場合も登録を拒否されます。
1.以前解体工事業の登録を取り消され、その処分のあった日から2年を経過しない者
2.法人解体工事業者が登録を取り消された場合において、その処分のあった日前30日以内に、その法人の役員であった者でその処分のあった日から2年を経過しない者
3.解体工事業の事業停止を命じられ、その停止期間が経過しない者
4.建設リサイクル法またはこの法律に基づく処分に違反して罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
5.解体工事に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者でその法定代理人が上記1~4のいずれかに該当する者
6.役員に上記1~4に該当する者がいる法人
7.技術管理者を選任していない
解体工事業の登録
登録に必要な書類は次のとおりです。
●解体工事業登録申請書
●不適格要件に該当しない旨の誓約書(法人の場合はは役員全員、個人の場合はは本人、未成年の場合は法定代理人)
●技術管理者の要件を満たすことを証明する資料(免状、実務経験証明書)
●申請者の略歴書(法人の場合は役員全員、個人の場合は本人、未成年の場合は法定代理人)
●技術管理者の常勤性を確認できる資料(賃金台帳、健康保険証等の写し)
●住民票の写し(法人の場合は役員全員、個人の場合は本人、未成年の場合は法定代理人)
●履歴事項全部証明書(法人のみ)
登録申請の手数料は33,000円です。有効期間は5年間で、引き続き解体工事業を営もうとする者は、有効期間満了の30日前までに更新の手続きをしなければなりません。更新の手数料は26,000円です。
なお、商号、所在地、役員、技術管理者など登録事項に変更があった場合には添付書類を付けて変更届出をしなければなりません。また、合併、解散、破産、死亡などの場合は廃業届出が必要です。
それから、500万円以上の解体工事業については登録ではなく、土木工事業、建築工事業、とび・土工工事業、解体工事業のいずれかの建設業許可を取る必要がありますので、くれぐれもご注意ください。
なお、平成28年6月1日に建設業許可の業種に「解体工事業」が追加された後も、「解体工事業の登録」という制度は残ります。ですので、税込500万円未満の解体工事を請け負う場合は忘れずに解体工事業の登録を行ってください。